【猫の凶暴化27日目-1】自宅からの脱出

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2013年12月24日-2

 

朝、いつもより1時間以上早く起きたのは、

眠れなかったというよりは、

家を出るための準備に時間がかかるかもしれないと思ったからでした。

 

 

外はまだ真っ暗。

 

 

凶暴化した猫の支配下にある廊下を通り抜けるのに、

心の準備だって必要ですし。

 

眠りに着いたのは朝方だったから、

ほとんど寝ていなかったと思いますが、

眠たいよりも気が張っているというか緊張しているというか、

興奮状態にありました。

 

 

さて目覚めるなり私を襲ったのは、

凶暴化した飼い猫ではなく、強烈な便意。

 

ここに記すようなことではないかもしれませんが、

私、とても健康的で、

目覚めるなり自然と催すサイクルなんです。

 

だから普段ならみんなに自慢できるこの健康サイクルが、

このときは本当に辛いというか、

トイレに行けない上、

いつ家を出られるかもわからない状況だったので、

不安でした。

 

たかだか大便ごときの話ではありますが、

このときの私は、

のんびりはしていられない、と強く思い、

ベランダからプランターに刺して使う、

ミニトマトを育てるときに使う支柱を3本持ってきて、

ガムテープでまとめました。

 

 

武器です。

 

 

凶暴化した猫を相手にするにはいささか不安な代物でしたが、

リーチがある分、素手よりはマシ、

いざというときはこれで戦おうと思いました。

 

妻は戦わずに捕獲することを望んでいましたが、

私としてはそうもいってられず、

万が一襲いかかってきたときには殺す気で戦おうという気になっていたぐらい、

猫同様、私も怯えていたわけです。

 

「中途半端にいけばこっちがやられる」

 

とまで思っていました。

 

 

とりあえず様子を見ようと、

私は廊下へのドアをそっと開けました。

 

もちろん右手に武器、

そして左手に座布団をぶら下げて足元をガードして。

 

 

すると恐ろしいうなり声と共に、

猫が飛び出してきました。

 

 

声を上げながら飛び掛かってくるのを座布団で防ぎながら、

私は武器を振り上げ、

私もまた自分でもどこから出したかわからないようなうなり声を上げて威嚇しました。

 

 

どのぐらいそういうことをやっていたのか、

今となっては正確には思い出せないのですが、

きっと時間にしては短い時間だと思います、

猫がまた洗面所の奥に逃げ帰っていきました。

 

 

私もまたキッチンへ戻り、

ドアを閉めました。

 

 

そして、

 

 

もう手に負えない。

 

 

と強く思い、

より一層、恐怖が全身を支配していきました。

 

何とか家を出ようと思っていましたが、

恐ろしさのため一気に気持ちが萎えていきました。

 

 

どうやって家を出よう。

 

 

ほんのちょっと、

洗面所を通って玄関から出るだけなのに、

たったそれだけのことをためらってしまうほど、怖かった。

 

「何とかならないか」

 

と部屋を見まわしているとき、

閃きました。

 

 

ダイニングというかキッチンの横に置いてある食卓をそっと持ってきて、

勇気を振り絞って、

再び廊下へのドアを開けました。

 

今度は音を立て、

声を出して威嚇しながら。

 

 

猫の姿は見えませんでしたが、

洗面所の奥の方で猫が身構えるのが気配でわかりました。

 

何か変な声というか呼吸のようなものも聞こえていました。

 

空気が一瞬でピリッと張りつめたような、

緊張感が伝わってきます。

 

 

私は持ってきた食卓を一気に洗面所の入り口に、

立てた状態で置きました。

 

 

更に和室の襖を外し、

テーブルの隙間にその襖を差し込みました。

 

そのままの勢いでカーテンも、

さっと引きました。

 

 

この程度では当然、

猫を閉じ込めたことにはなりませんが、

飛び出るのにジャンプという1動作が増えるわけで、

攻撃衝動へのワンクッションになるのではないかという思いもありましたし、

入り口を塞ぐことで猫も落ち着くのではないかという思いもありました。

 

何より、そうでもしないと洗面所の前を通過する勇気が出ませんでした。

 

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精神安定剤の代わりにと血迷い、猫に風邪薬…

時間はどんどん過ぎ去っていきます。

 

私は急いで着替えを済ませ、

出勤の支度を整えました。

 

電気シェーバーは猫のいる洗面所に置いてあったので、

髭剃りは諦めましたが、

洗顔や小便は、台所で済ませました。

 

猫のトイレと餌は、その部屋、

つまりダイニングキッチンに置いてあるので、

いつものように猫のトイレを掃除し、

餌入れに缶詰めのウエットフードとドライフードを入れました。

 

 

急いではいましたし、

非常事態だったのですが、

なぜか習慣でやっていました。

 

 

と、そこでふと思いついたのです。

 

 

これは書こうかどうか悩んだのですが、

自分がやったことを過ちも含め忘れないためにも書き記しておこうと思います。

 

 

前夜、妻との会話で何気なく話していた風邪薬が、

猫の缶詰めを取り出したキッチンのカウンターの上の小さなカゴに、

偶然あったのです。

 

それを私は迷うことなく少量の水に溶き、

その黄色く濁った液体を、

猫のウエットフードの上に掛けました。

 

それを食べた猫が、眠るなり、

大人しくしてくれるなりしてくれたら

という願いを込めてのことだったのですが、

それが猫にとって毒だということまで

そのときはまったく頭が回っていませんでした。

 

 

今となってはそもそもその市販の風邪薬に

睡眠薬の成分が含まれていたかもわかりませんが、

そのときは勝手に入っていると思い込んでいました。

 

 

しかし根本的に睡眠薬が入っていようがなかろうが、

風邪薬が精神安定剤の役割を果たすわけもなく、

猫の体には危険なので絶対やってはいけないことです。

 

そんな少し考えればわかるようなことに考えが及ばないほど、

冷静ではなかった。

 

 

さあ行くぞ!

 

 

私は心に気合いを入れると、身を低くし、

立て掛けた襖に隠れるようにして、

そろりと、かつ素早く猫のいる洗面所の前を通り抜けました。

 

そして玄関で靴を掴むと、

急いで逃げるように家を出たのでした。

 

 

今思うと矛盾しているのですが、

猫が眠くなったり、

精神が安定してキャリーに入れやすくなればという思いで

風邪薬を餌にかけた筈なんですが、

私は3日分ほどの着替えを持って家を出たのでした。

 

そのときははっきりと

もう家に帰らないと決めていたわけではないのですが、

家に帰る勇気がなくなっていくことが、

わかっていたんだと思います。

 

コメント

  1. り。 より:

    当時のテンパりようが伝わります。
    薬とかふすまガードとか本当に追い詰められてたんですね。
    いざとなったら殺す気で戦う、というのも我々豹変体験者なら理解できます。
    正直、私もこのままフラッと出て行ってしまっていなくなってしまっても仕方ない、むしろ夫婦の静かで穏やかな生活に戻れるのならそのほうがよいと思いました。

    仕事や家事等しなくちゃいけないですし、家を出ても心ここにあらずな感じになります。
    私も当時はご飯たべなきゃいけないのにまったく食欲もおきず。かといって猫と同じ空間にいてもなにができるわけでなく・・・。
    時が戻って欲しいと思う以外できませんでした。

    うちの子が発狂したのがちょうど去年の今くらいです。主人にも思い出させる意味もこめて外の何かにさわる時、野良ちゃんがスプレーしてないか、そしてそれを家に持ち込まないようにと再度注意確認をしたところです。

    • ginzabu より:

      時が戻って欲しい、本当にそう思いますよね。
      むしろそれがすべてというか。
      ほんの一瞬を境に、天国から地獄に落ちた様な感じでしたから。